顧客ロイヤリティをたった1つの質問で測る方法

顧客ロイヤリティというのは、測定が難しい。
本書の特徴はそれを非常に単純な1つの質問で理解しようという点にある。

まず、企業の利益には良き利益(消費者に喜んでもらった対価)、悪しき利益(消費者から簒奪した対価)があるという。
そして、良き利益を上げている企業が悪しき利益をあげている企業よりも成長しているという調査結果に基づいて、どうすれば良き利益を上げることができるだろうか。が本書のテーマだ。

顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)

顧客ロイヤリティの測定方法

良き利益と悪しき利益を識別する単純な1つの質問とは
この会社を友人や同僚に薦める可能性はどれだけありますか。」というシンプルなものである。
この質問に10段階で回答してもらい、3つのグループに分類する。

10、9点の人:推奨者(このセグメントの顧客に勧められた顧客が80%を超える)
7,8点の人:中立者
0点~6点の人:批判者(否定的なクチコミの80%はこの顧客から生まれる)

このグループをもとに以下のように算出したNPS(推奨者の正味比率)を顧客ロイヤリティの測定手段としている。

顧客に占める推薦者の割合(P)-批判者の割合(D)=NPS

NPSの経済性

この本のすごいところは、この推奨者、批判者を用いて、NPSの経済性を測定している点である。
それぞれのグループで、A.B.Cを算出して顧客別の経済性を算出している。
A.口コミ効果
肯定的なクチコミの価値=
新規顧客の価値(円/人)×新規顧客数(人)×推奨を受けた事を購入の理由に上げた割合
否定的なクチコミの価値=
-肯定的な口コミの価値×5(否定的なコメント1件を相殺するために必要な肯定的な口コミをアンケートした結果5件だった。)

B.年間購入額
同社の別の製品を含めた年間の購入額をアンケート結果から算出

C.サポート
サポートに必要となった費用を問い合わせ数のアンケート結果から算出。

NPSを高めるためには?

顧客は2つの条件が満たされない限り、個人的な推奨は行わないことも判明した
1、その会社が傑出した価値を提供していること。
2、顧客がその会社との関係を心地よく感じている。

NPSを利用した顧客戦略1「顧客の優先順位付け」

NPSの値を横軸、収益性を縦軸に取ってそれぞれの顧客をプロットする。
そして、優先順位の高い顧客に対する戦略から改善する。
1、NPSも高く、収益性も高い顧客を優良顧客として報いる
2、NPOは低く、収益性が低い顧客の不満を解決する。
この顧客は会社との取引を望んでおらず、否定的なクチコミを広めている。とはいえ、収益性の高い顧客であるから、彼らが抱える問題の解決に投資し、推奨者に変えるように図る価値はある。

NPSを利用した顧客戦略2「顧客参画型開発」

批判者:点数をつけた理由を聞く
中立者:どうやったら推奨者になれるかを聞く
推奨者:具体的になんと伝えるかを質問する。
また、3グループのすべてに顧客体験(製品の選択、購入、インストール、設定)の中で改善されたら一番嬉しい点を尋ねる。

イーベイの創業者ピエールオミディア
ネット・オークションの可能性に気づいた人は数多くいた。イーベイが他社に先んじることができたのは、イノベーションを迅速に進める能力があったからだ。オミディアは日中は毎日のように掲示板を通じて顧客との会話を続けていた。

最後に、NPSは顧客戦略だけでなく、社員にとってもメリットをもたらすことが述べられている。
NPSを重視する会社は「最も働きがいのある会社」の上位に選ばれている。確かに、顧客のためになっていることを実感出来る仕事は充実していると思う。

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