SNS時代の漫画はこうやって作られ、読者に届けられる@やれたかも委員会インタビュー

 

SNSで見つけてAmazonで本を買ったことはないだろうか。
これも、僕がSNSで偶然見つけて読み始めた漫画である。

この放送コードギリギリ!?の漫画、、だがしかし、、絶対に面白いので、ぜひ読んでみてほしい。何話かは無料で「やれたかも委員会」が読める。
男性だけでなく、女性も。なんと8話は女性が主人公だ。

やれたかも委員会の筋書きこんな感じだ。

面接のように応募者が自らの「やれたかもしれない」エピソードを紹介する。
最後に委員会がそのエピソードは「やれた」のか、「やれなかった」のかを判定する
というものだ。
しかし、その中には様々な人生のヒダがチラ見でき、こんな名言も語られる。

これだけ切り出すと名言じゃないかもしれない(笑)
今回、このツイッターを見つけてインタビューの機会を経たので作者にメールでインタビューしてみました。

インタビューしたいと思ったのはこの漫画の作り方、読者への届け方は共創マーケティングだなと思ったからなんです。ここは一つお付き合いを。

■読者のエピソードから漫画を作る

▼「やれたかも委員会」では、読者からやれたかもエピソードを募集しているそうですが、どんな顔をしてみんなの体験談を読んでいますか?
→能島塾長みたいな顔をしてます。

▼こんな顔ですね(笑)


やれたかも委員会はどのように作られているんですか?

→やれたかも委員会の2話目までは自分の体験や友達の体験を元に書いています。
第3話以降はネットで募集したエピソードを元に構成しています。

▼3話目以降は読者のエピソードなんですね。読者からエピソードをもらっただけでは作れないと思うのですが、インタビューなどもしているんですか?

→体験談を読んで、もっと詳しく知りたい時は直接メールをして詳細を聞いたりします。
たしかに体験談をそのままマンガにしてもあんまり面白くならないんですよね。
ネーム(下書き)を切る段階で「あんまり面白くないな」と思った時はだいたい体験談をそのままトレースしてしまっている時です。引っ張られ過ぎると面白くならない。

そういうときは机の上から体験談をプリントアウトした紙をどけて、初めから描き直します。
ちゃんとそのシチュエーションのどこを自分が面白いと感じて、読者に伝えたいのかを考えます。
自分の中をくぐらせないとなかなか良くなっていかないですね。

▼なるほど。ユーザーと商品開発するときにも、「ユーザーの意見をそのまま聞いてはいけない」って原則があるんですけど、「自分の中をくぐらせないと」というのは、それに近いですね。どんなエピソードも絶妙にリアルな感じがすごいなと思っているんですが、心がけていることはありますか?

→エピソードをマンガにするときに大事なのって「何が起きたか」ではなくて、「こういうシチュエーションでこういうこと言われた時にどう思ったか」なのかなと思います。
人生は人それぞれ違う道ですが、女の子にチューハイを回し飲みされるときに一瞬ドキっとするのはみんな一緒だと思うんです。
その辺りをエピソードの中からすくい取れるかどうかがミソだし、リアリティにつながるのではないかと思います。

▼このシーンですね!


ドラマ化もされた「タラレバ娘」のように、人の言の葉に乗りやすい「やれたかも」という言葉が印象的な作品でSNS時代にマッチした作品だと思っているのですが、思いついた経緯なんですか?
→マンガを思いついた経緯は2013年頃、単なる友人との雑談からでした。
「あん時やれたかもとか思うことってあるよね?」「あるわ〜わかるわ〜」「ぶっちゃけどっちだったんだろうね。判定してほしいわ〜。委員会開いてほしいわ〜。やれたかも委員会。」みたいな感じでぽろっと出てきました。
当時はもちろんまさかこんなに話題になるなんて思っていませんでした。基本的に下品な会話だし。
基本的に下品なワードなので嫌悪感を抱く人もいるだろうなとはいつも頭の片隅には置いています。
その点でタラレバ娘は優れた言葉ですよね。本当に。

▼これまでは、ファンを作っていくフェーズだったと思うのですが、今どんなファンが何人ぐらいいるイメージですか?
→「今後吉田貴司の作品ならなんでも買う」って人は今50人ぐらいだと思います。
ほとんどの人は「やれたかも委員会が話題だし、ちょっとおもろい」くらいで構っていただけてるのかと思います。
コアなファンをたくさん増やすためには作品数が絶対的に足りないので、もっとたくさん描いて、出し物を増やしたいです。

6/27にやれたかもの単行本がでますが、今年中にもう1冊出したい。
とにかく次々打って出ようと思います。

▼こんな感じでいいですね、

応援しています!
共創マーケティングでは、まずはコアなファンを作って、それを再生産していくプロセスを経るので、ここから広げていくタイミングですね。
ちなみに、僕は読めば読むほど眼鏡の女性(月満子)が気になっているんですが。月満子は審査員楽しんでますか?

→月満子さんは描いてて最近楽しくなってきました。
あの髪型好きなんですよね。個人的に。
審査員が楽しい瞬間っていうのは「彼ら3人が楽しいと思う瞬間」ってことでしょうか。
なんなんですかね。楽しく審査しているようにも見えますし、無理やり連れてこられたようにもみえます。
そういえばこないだある男性から感想のお便りをいただいて、「第5話第6話の月満子は本当にぶん殴ってやろかと思うぐらいむかつきましたが、第7話でとても好きになりました。」と言われました。
その感想はなんか嬉しかったですね。

▼吉田さんは3人の審査員のどのキャラに近いですか?

→どうなんでしょうか。やはり塾長ですかね。
基本的に人のエピソードを聞く時は能島塾長みたいにできるようにしたいなと思っています。
静観するイメージです。

■ネットだからこそできる読者との距離と、漫画のマーケティング

▼ちなみに、この作品を本や雑誌ではなくネットで発表している理由はなぜですか?

→ネットにアップしている第1話が去年の9月にSNSで拡散されたことをきっかけにこれまで第8話まで描いてきました。

これまで出版社からの連載のお誘いは幾つか頂いたのですが、話し合いをした結果、全てお断りすることになりました。
条件面で折り合いがつかなかったのです。
僕は電子書籍に可能性を感じていて、自分で電子を運用したかった。noteでアップしているものも消したくなかった。
いつでも無料にしたり、好きな時にアップロードしたり、自由にしたかったんです。

▼「電子書籍に可能性を感じていて、自分で運用したかった」というと?

→2年前に商業誌で連載したのですが、その時になんのリアクションも得られなかったんです。
「読まれている実感がない」それが描き手として一番辛かった。
読まれてる実感が得られないまま、アンケートが悪いからという理由で打ち切られてしまう。

まあそのルールの中で結果が残せなかった自分が悪いんですが、僕にとって雑誌連載はそういう不完全燃焼感がとにかくすごいっていうイメージが強烈に残ってしまいました。

ネットは絶対に読まれます。池に魚がいる実感がある。
「バズってタダで消費されてしまう」という危険性はありますが、うまくマネタイズの導線を用意すれば個人でやってくぐらいの収入は得られるのではないかと思います。
そのためには電子書籍出版権は絶対必要だし、出版社に預けちゃうのはどう考えてももったいない。
今は出版社とは単行本の出版だけを契約しているので、自由にネット展開できます。

まだまだ試行錯誤の段階ですが、自由だからいろんなアイデアが出てきて、すぐに実行できるところがいいです。

▼こうやってインタビュー記事をブログで書く機会の提供も新しい試みで面白いですよね。

→そうですね。面白いと思っていただけたら読者が広めてくれる。それによって新たな原稿執筆のお仕事も頂いたり、2次利用権も手放してないので映像化の話も直接僕にきます。

割と信じられない有名人の方から直接感想を頂いたりもします。
そのうちタランティーノから「君の漫画はクールだ。一緒にハリウッドをぶっつぶそう。」というメールが来るんじゃないか。とたまに酔っ払って妄想したりしていますが、そういう可能性も0.1%くらいあるところがネットの面白さだと思います。

作者と読者の距離が近いこともネットの魅力ですが、クリエイターとクリエイターの距離が近いことも大きな利点ではないかと思います。

▼タランティーノに映画化してもらったらものすごい作品ができそうですね。
最後に、これだけは聞いておきたいんですけど、激しすぎて漫画化できないようなエピソードもありますか?

→ありました。
読んでいて思わず「えーーーーーーー!!」って叫んじゃうような、エロマンガみたいやつありました。
これそのまま描いても読者には「ありえねーよ」って言われちゃうんじゃないかと思って描けてないんですけど。
人生にそういうこともあるんだなーと考えさせられました。
みなさん、外に出ましょう!(笑)

▼めっちゃそのエピソード知りたいですね。
すでに作品化されてるこのカットとかも十分刺激的です。

吉田さん、ありがとうございました。
これからも漫画の新しいマーケティングの形作りに期待しています。そして、単行本出版記念プロジェクトのクラウドファンディングも応援しています。

(c)吉田貴司

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