「グレイトフル・デッドに学ぶマーケティング」の前文が好きすぎて

「グレイトフル・デッドに学ぶマーケティング」という本があって、マーケティングの勉強にすごくなる。でも、実は一番好きなのは糸井重里さん、この本を日本語で出そう出そうと言った者、の前文である。

あまりに好きすぎて、その書き方を分析してみました。

まとめると、【Think Logical write personally】ってことだと思う。
要素に分解すると、

  • 読み手との共通の話題を取り入れる
    • 一般的な疑問から入る
    • まず落とす
    • いま流行りの言葉や名著との比較
    • 批判する人を登場させ、でもね、って言う。
  • ストーリーの紡ぎ方:感情はきちんと表現する
    • 感情を表現するときには友人のような口調で。
    • 感情の流れを時系列で話す
    • ぼくが○○と思ったという表現でパーソナル感を出す
  • 生き生きとした表現
    • 形容詞の連続使用
    • 抽象語をあたかもそれがそこにあるかのように表現する
    • 難しい言葉を頭のなかの言葉で表現することでわかりやすくする
    • 句点を多く入れることで行間を読むだけでなく、文間を読めるようにする

具体的なポイントはこんな感じ。

グレイトフル・デッドに?マーケティングを?


【一般的な疑問から入る】


グレイトフル・デッドは、1960年台にアメリカは西海岸サンフランシスコで生まれたバンドです。ビートルズやローリング・ストーンズなんかとおなじくらい歴史がある。

でも、日本人の大半はおそらくグレイトフル・デッドを知りません。
ヒット曲もないし、ジョン・レノンやポール・マッカートニーやミック・ジャガーやキース・リチャーズみたいなスターも在籍しない。


【ストーリーの紡ぎ方:まず落とす】

そんなバンドなのですが、アメリカでとっても人気があったのです。
そしてなんと、その人気は、結成から半生記も経った今でもあるんですね。


【ストーリーの紡ぎ方:感情はきちんと表現する。】

ヒッピーカルチャーの代表のようなグレイトフル・デッドには、熱狂的なファンがたくさんいて、その人達には「テッドヘッズ」という呼び名があるくらいなんです。

「おお、キミもテッドヘッズだったのか!」なんて調子でね(この本のふたりの著者も、そんなふうに出会ったらしいですよ。)


【感情を表現するときには友人のような口調で。】

彼らの全米コンサートはさながら移動する街のよう。大勢のファンたちが、そしてファンを相手にする商人たちが、ぞろぞろとグレイトフル・デッドの後をついていく。牧歌的で、一見、時代遅れでビジネスのにおいなんて全然感じさせない。


【形容詞の連続使用】

なのに、「結果として」彼らの活動は大きな史上を生み出し続けているんですよ。

■なぜ?このなぜ?に対する「答え」が本書のテーマです。

僕は、昨年の夏、アメリカで発行されたばかりのこの本の存在を知りました。そして、すぐに、たくさんの人達にこの話を伝えたい、日本の人たちに読んで貰いたいと思いました。
いや、ちょっと違うかもしれないな。


【感情の流れを時系列で話す】

この本には、ぼくが「こうやりたい」と思っていたようなことがまるまる書いてあったんです。
あとは本書をお読み下さい・・・なんです。
親しい友だちには、そこまで言って本を渡してしまいたいのですが、もうちょっとだけ、ぼくなりに考えた、この本の「ヒント」みたいなものをランダムに記しておきます。


【ぼくが○○と思ったという表現でパーソナル感を出す】

【ここから箇条書きで全体としてはロジカルに並べられている】


この本は、やっぱり掛け値なしの「ビジネス書」です。つまり、「使える本」としてつくられています。
西海岸のヒッピーくずれの、傍から見たらきっと文無しの集まりだったバンドが、いま世間で注目されている「最新型ビジネス」の秘密を明らかにしてくれるのです。

グレイトフル・デッドは、40年以上前から、ファンのみんなに自分たちの音楽を無料で開放していました。ツアーの音楽は録音してコピーし放題。まさに「フリー」であり、「シェア」のはしりです。
著作権だなんだといわずに、自分たちの作品を開放したら、たくさんのファンがついてくれていて、コミュニティができて、仕事を手伝ってくれて、結果としてグレイトフル・デッドの音楽活動は、大きな市場になりました。
とっくの昔、みんながそれを嘲笑していたかもしれない時代から「彼らはそれをやっていた」のです。


【1つ1つの文書をできるだけ肌感のある文書に変える】

この本は、これまでにない「マーケティングの本」です。マーケティングを好きでない人も、きっとこの本を読んでくれると思うので、言っておきます。
マーケティングが、いやな言葉に聞こえるのには、理由があります。
それは、ある種のマーケティングが「大衆操作的」なものだと考えられているからです。
「これをこうして、あれをああすれば、みんながこうなるだろう?」
という考え方が、大衆操作的でないとは思えません。


【難しい言葉を頭のなかの言葉で表現することでわかりやすくする】

でも、「大衆操作的」ではないマーケティングもあるんです。
むしろ、大衆のほうが、自らマーケットを作っていくようなマーケティングもあるんです。それが、グレイトフル・デッドと、デッドの仲間たちの、それ、です。


【句点を多く入れることで行間を読むだけでなく、文間を読めるようにする】

「これが、こうなったのかぁ。もっと、こうなったら、おもしろいぞ、みんなもよろこぶぞ」というふうなひとりずつが楽しさに巻き込まれていくような、創造的なマーケティングがここにあります。
で、これは、「大衆操作的」なマーケティングが好きな人達に一泡ふかせることすらできそうです。

この本は、「もしドラ」に負けないくらいの「実用書」です。


【いま流行りの言葉との比較】


ピーター・ドラッカーのいちばん重要な言葉の一つは、「顧客の創造」です。
今はないけれど、できたらみんながよろこんでしまう商品やサービスを開発して、新しい市場を創る。そんな「顧客の創造」の真髄がグレイトフル・デッドの「仕事」でした。
しかも。この本には、ドラッカーの本には書いていない、とても重要なポイントがあります。

【名著、名著者との比較】


それは、彼らがアーティストだからこそ気づいたことかもしれません。
常に人に「見られている」ということが、いかに仕事に効果をもたらすことか。
このことです。
とうてい実現するとは思えない事業計画を立てたとしましょう。
99%失敗する。

でも、誰かに「見られている」ことで、1%の可能性に賭けてみよう、という意欲がわいてくる。
するとそこから「物語」が立ち上がる。
人間は物語の上で生きていきます。共感を呼ぶ物語が「見られている」ことで生まれたら、1%の可能性が2%になるかもしれない。
それが「見られている」効果です。

この本は、まだ誰も書いていないウェブ時代のヒットの根本が描かれています。
【まだ誰も知らないことは何なのか?】
それは、アメリカ西海岸で生まれた「ヒッピーカルチャー」です。
もっと具体的に言えば「ドラッグカルチャー」です。
たとえば、インターネット。
たとえば、アップル。
どちらも、その根底には、ヒッピーカルチャー、ドラッグカルチャーがでんと座しています。


【抽象語をあたかもそれがそこにあるかのように表現する】

ドラッグカルチャーのポイントは何か?
それはありていに言えば「へらへらすること」・・・上昇志向を忘れることです。
他人と比較することをやめることです。


【質問&感覚的な答え→具体的説明】

かわりに、より気持ちよく、より楽しく、より仲良く、へらへらとやわらかくいる。
上へ、上へ、の代わりに、横へ向こうへ、前へ後ろへゆらりと動く。
もともとフラットな構造を持つインターネットも、まさにこの精神のたまものです。
それから、アップル(ヒッピーみたいな虹色のリンゴマークを覚えていますよね)のスティーブ・ジョブズ。
気持ちのいいインターフェイス、さわり心地のいいデザインにこだわり続ける。
機能よりも堪能。快楽原則をなによりも大事にして作り続ける。
これもルーツは、まさにドラッグカルチャーそのものだと思えます。
フリーもシェアも、インターネットの世界が発達することで目に見えるようになった。それをいち早く体現したグレイトフル・デッドは、ヒッピーカルチャー、ドラッグカルチャーをマーケットに変えた先駆者です。
最先端のビジネスの誕生の影に、ヒッピー&ドラッグあり。
なんだかまゆをひそめる人もいそうですが、この本を読むとそれが、とても自然な必然性のあることに思えてくるでしょう。


【批判する人を登場させ、でもね、って言う。】

「ラブ&ピース」
これはヒッピーの合言葉ですね。
それをただの言葉じゃなく、計画にした。
グレイトフル・デッドはそういうやつらのように思えます。

この本を日本語で出そう出そうと言った者
糸井重里

【日常会話を体言止めで】

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ [書籍]

著者デイヴィッド・ミーアマン・スコット, ブライアン・ハリガン

クリエーター糸井重里, 渡辺由佳里

出版社日経BP社

出版日2011年12月8日

商品カテゴリー単行本

ページ数274

ISBN4822248526

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