ビジネスのためのデザイン思考

これまでの世界経済は「コストとコントロール」に強い企業と「分析力」に強い企業が優位性を築いてきた。まさに、日本の製造業やコンサルティングファームが急成長したのはこの市場環境によるものだろう。しかし、そのモデルが限界に直面している。

理由は簡単だ。日本でスマートフォンを作っていたSONYや富士通を見れば分かるように、売れない商品をどれだけコストコントロールして作ったとしても、その商品は売れないのだ。

売れる商品を作るには、全く新しいイノベーションを起こす必要がある。
そのイノベーションを起こすには以下の2点が重要なポイントになる。

  1. 製品のように、部分的なイノベーションではなく、顧客体験全体を意識したイノベーションが重要。
  2. 簡単に成功するアイデアは生み出せない。大量のアイデアをどれだけ試せるか。

例えば、GMはフォードのT型フォードで全盛の時代に、「モデルチェンジ」というビジネスモデルを導入することで急成長を遂げた。

2007年に北米のテレビ市場で首位を取った無名の企業VIZIOもイノベーションを起こしている。

VIZIOの戦略は低価格商品の販売だ。期間限定で、999米ドルで42型降るHD液晶テレビを投入した。その時、競合だった日本企業は「安売りであるから利益は出ない。(ゆえに消える)」と考えた。しかし、VIZIOの戦略はただの低価格戦略ではなかった。

なんと、同社は従業員80名ほどの会社だった。パソコンのビジネスモデルを導入してデザインに特化し、生産を台湾に委託、独自の流通網を持たず、大型量販店(ウォルマートなど)にクリスマスシーズンなどに集中してスポット的に販売するなど、限定したチャネル政策をとっていた。

金沢21世紀美術館のビジネスモデル

経営不振となることが多かった地方美術館に会って、金沢21世紀美術館が成功した理由とはなにか?

従来の地方美術館はいわゆるハコモノ行政であり、ハードは作るが、ソフトやマーケティング面が弱かった。たとえば、会館に際して高額な有名作品を購入し、会館直後は集客できてもその後は来館者が途絶えてしまう。名物を見に行くというのがそれまでの美術館体験だった。

こうした反省から、同美術館では高額な作品購入を避け、一定時期以降の現代アートに焦点を定めてコレクションし、かつ持続的企画展示が可能なハードを準備していた。なにより重要なコンセプトは「たまに来館する」からいかにリピーターにするかだった。

金沢21世紀美術館の経験デザインの景気は美術館愛好者の大きな特徴は子供時代に美術館経験、つまり社会的・文化的な記憶を持っているという知見だった。そこで、同美術館は市内の小中学生の無料招待を行い、「もう一回券」を配って、後日今度は家族連れで再来館してもらうという経験のパッケージングを行い、マーケティングを行った。これによって大きな効果を得た。

リセッションの時にイノベーションは起こる

人は危機において、自分の気づいていないほどの力を発揮する。
人の集まりである企業も同様で、リセッション時にはこれまでになかったようなイノベーションが起きている。

  • 世界大恐慌の時、GMはV16エンジンを発表するなど、ハイテクカンパニーとして世界一の自動車メーカーへの道を突き進んだ。
  • 昭和恐慌の時代に、松下幸之助はパナソニックを作った。
  • 1997~1998年のアジア経済危機に最大の経営危機を経験したサムスンは1997年、携帯電話市場に本格的に打って出る
  • 2001~2002年のドットコムバブル崩壊直後にアップルは音楽再生ソフトiTunesをリリース

まとめ

上記で紹介した「ビジネスのためデザイン思考」の書かれている手法は、デザインシンキングやスキャニング(詳細は「未来を洞察する」に詳しいなどの寄せ集めだった。それでも、多くの事例が紹介されていて、それがとても参考になった。

 

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